湿潤療法、夏井先生から手紙
火傷で有名な大学病院や熱傷センターなどでは、ⅡからⅢ度の広範囲におよぶ重症熱傷に対し、ガーゼ交換、消毒、植皮手術が当たり前のように行われてますが、もしかしたらこれが最良の療法とは限らないかもしれません。
新しい創傷治療
夏井先生は、東北大学形成外科で長年植皮手術などの熱傷治療に携わってこられましたが、ここでの治療行為に疑問を抱くようになり、2001年10月からインターネットにて新しい創傷治療を提唱、実際の臨床で実践ておられます。私の問い合わせに夏井先生が新しい療法について説明してくださいました。
もしかしたら自分が受けてきた治療が大間違であった可能性があるというお話だったので、少しショックを受けたのですが、そもそも2000年3月の受傷では選択の余地はありませんでしたし、もし選択できたとしても、あの状況で大学病院よりも小さな医院を選ぶという決断はできなかったと思います。私には医療の知識がないので、既存の療法と新しい療法ものどちらがよいのかのは、理論でなく結果を見て判断するしかありません。
でも今後私のように重症熱傷する人に対しては、何か言えるようになりたいと思うので、できるだけ検証していきたいと思っています。
大学病院の形成外科,熱傷センターで当たり前のように行われている「消毒して軟膏ガーゼ」という治療では、よけい症状が悪化し、瘢痕と機能障害を残し、治療期間も長期にわたることになります。また、皮膚移植などの手術できれいになることは決してなく、治るというのは医者の欺瞞であると断言しています。
現時点では,大学病院の形成外科,熱傷センターの熱傷治療が一番遅れています。私はもともと東北大学形成外科の医者で,熱傷治療の専門医ですが,大学病院形成外科で熱傷治療を受けるのは自殺行為だと断言します。大学病院よりも熱傷センターよりも熱傷学会よりも,湿潤治療を知っている内科医や精神科医のほうがまともな治療をしています。
実際,熱傷治療で超有名な大学病院で植皮が必要といわれた患者さんからメールをいただき,湿潤治療を熟知している内科の開業医に紹介したところ,ラップだけで10日で完治しています。
恐らくあと5年で医療現場では湿潤治療が普通の治療になり,各地の熱傷センターには熱傷患者が受診しなくなる時代になると読んでいます。そして,皮膚移植は過去の治療になり,瘢痕拘縮形成術も不要になります。
それまでは,やけどをしたら受診する病院を選ぶことが重要です。昔ながらの治療を受けたければ大学病院や熱傷センター,最新の治療を受けたければ湿潤治療を知っている開業医です。
私は東北大学形成外科に長年所属し,ずっと熱傷治療をしてきましたが,絶対にきれいにならないことを知っています。形成外科医や熱傷専門医が「手術をしてやけどの跡をきれいにする」というのは,一種の欺瞞でありインチキです。手術で機能障害(運動障害)は治せますが,外見の問題は一切解決できません。
初期治療が正しければ痕も残さずに治りますが、初期治療が悪ければ、その後にどんなことをしてもきれいな皮膚には戻りません。つまり最初に植皮治療をしてしまうと、もうきれいに治すための道が閉ざされるということを言われています。
また、そうして治るはずのない傷を、治りますとうそをつくインチキ(or 安心させたい)医者や治るという軟膏や治療薬を高額で売りつける悪徳商人が多いので、治らないという現実を受け入れ、だまされないようにしてくださいと警告しています。
湿潤治療で受傷直後から正しく治療をすれば,瘢痕を残さず,短期間にきれいに治ります。従来どおりの「消毒して軟膏ガーゼ」で治療を受ければ,瘢痕と機能障害を残し,治療機感も長期にわたり,絶対に治らない瘢痕を残します。
要するに初期治療の問題なのです。初期治療が正しければ痕も残さずに治るが,初期治療が悪ければ,その後にどんなことをしてもきれいな皮膚には戻りません。従来どおりの熱傷治療を受けて瘢痕が残り,湿潤治療できれいになれないかと私の外来を受診される患者さんは多数います。それこそ全国から来ます。しかし,答えはいつも同じで「絶対にきれいに治りません。だから,傷跡が残っていることを受け入れて生きてください。幻想を追いかけても無駄です。幻想を追いかけるとインチキ医療,インチキ薬に騙されるだけです。治せるのは機能障害だけです」・・・です。
形成外科医の「手術できれいになる」という嘘に騙されないで下さい。手術でもっときれいになるはずだという幻想も捨ててください。熱傷瘢痕というのは,治療法のない難病だと知り,その難病と付き合って生きていくのが自分の人生だと覚悟を決めてください。非情なようですが,これが現実です。この現実を示さない医者,患者に無用な幻想を抱かせる医者を,私は信用しません。
だから,「やけどの傷跡をきれいにする軟膏」をうたっている「自称名医」は何人もいますが,全てインチキ医者ですし,彼らが使っている「治療薬」も中身が何か知っていますが,全てインチキでした。「治療薬」そのものが地球には存在しないからです。人間の皮膚の構造,瘢痕の構造から考えると,もとの皮膚に戻すこともできなければ,いったん瘢痕治癒した皮膚をよりきれいにすることも不可能なのです。人間が手を羽ばたいても飛べないのと同じです。
One Response to '湿潤療法、夏井先生から手紙'

湿潤治療、傷はぜったい消毒するな
あの、夏井 睦さんが新しい書籍をだしたようです。 湿潤療法 人間が持っている治…
火傷熱傷 - やけどの広場(SNSも)
5 12月 09 at 5:42 PM