培養皮膚の現状
- ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが培養する皮膚が保険適用になったことの意義は大きい、今後再生医療ビジネスがいっそう現実味を帯びてきた。ただし、この技術は、見た目はのっぺりとした人工物といった感じの皮膚であるため、重症熱傷患者が望む美容目的に用いることは出来ない。
- セルバンクが培養する皮膚は美容目的としている点からもかなり期待が持てる技術である。しかし業継続性に多少の不安が残る。大手が乗り出してこないのはニッチだからなのかリスキーだからなのか。遺伝子系のベンチャーへの出資は盛んなんだけど。
重症やけど治療の培養皮膚に保険適用
- 厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2009年1月から、重症のやけどの治療のため、患者自身の細胞を培養して作る皮膚を医療保険の対象とすることを決定。
- 名古屋大学とベンチャー企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(愛知県蒲郡市)が製造・販売する表皮「ジェイス」価格は80平方センチ・メートルで30万6000円が対象。
- これまで治療に月1000万円以上かかるケースで、最大でも月数十万円で済むことになる(高額療養制度適用時)。
- この培養皮膚の特徴は、患者自身の皮膚組織を使うので、拒絶反応がなく、一般的な植皮と違ってドナー皮膚が不要のため身体的な負担も少ないこと。
複合型培養皮膚の保険収載を目指す(事業復活)
- 細胞保存・皮膚の再生医療のバイオベンチャーである株式会社セルバンクが、破産管財人預かりとなっていたビーシーエスの「複合型培養皮膚」事業を2009年10月28日に正式承継した。
- この培養皮膚は、東海大学医学部の猪口貞樹教授が発明した技術で、表皮層と真皮層の両方を兼ね備えた培養皮膚を実現している。
- 美容を目的とした皮膚の再生治療と患者の細胞を保存する細胞バンクサービスをおこない、まだまだ規模は小さいものの着実に市場を開拓し黒字化に成功している。
- 現在、保険適用の確認申請を終了しており、次のステップである治験から製造販売承認申請といった過程にある。
- 表皮を含めた皮膚全体の美容サービスの拡張をおこないつつ、血管や癌細胞といった複合型培養皮膚の応用による医療サービスを開拓していく。
