湿潤療法とは
湿潤療法の3原則
- 「消毒をしない」
- 「乾かさない」
- 「水道水でよく洗う」
創傷のあたらしい常識
- 容易に傷のタンパク質との反応によって細菌を殺す閾値以下の効力になる。
- 欠損組織を再生しつつある人体の細胞を殺すには充分な効力を保っている。
- 皮膚のような浅部組織は常在細菌に対する耐性が高い。
- 壊死組織や異物が介在しなければ消毒しなくても感染症に至ることはほとんど無い。
- 普通の消毒薬の殺菌力では、傷口のバイ菌を取り除けない。
- 傷口の人間の細胞は消毒で簡単に死んでしまう。
- 消毒で傷口のバイ菌を減らしたとしても、その効果が持続するのは数分間で、バイ菌はすぐに増殖する。
- バイ菌は傷が治るのを邪魔しない。
- 傷口のジュクジュクは、炎症を抑えたり傷を治す成分であり、ガーゼ等でこれを吸い取ると、痛いし治るのが遅れる。
- 乾燥させると、傷を治そうとしている細胞が死んでしまう。
- 再生組織は乾燥によって容易に死滅し、傷口の乾燥は再生を著しく遅らせる。
湿潤療法の歴史
- 1960年代後半、湿潤環境下の方が創傷の治療経過がよいことが欧米の臨床報告などで知られる。
- 1980年代、湿潤環境を保ち傷を治すという概念がWOC看護認定看護師らによりアメリカから紹介。
- 2001年ごろ、日本国内でも賛同する医師らによって急速に普及が図られる。
- ためしてガッテンで紹介されることによって、一般にも広く知られるようになった。
- 治療法に関しては賛否両論であり、確立された治療法ではないことに注意が必要である。
湿潤療法適用にあたって注意すること
- 創の場所、面積によっては運動障害、機能障害を併発する可能性がある。
- 応急処置が必要な場合はこれを優先すること。
- 以下の状態で湿潤療法を適用すると、傷の悪化が発生する。
- 1.感染が疑われる傷。
- 2.糖尿病性潰瘍。
- 3.糖尿病に腎不全+動脈硬化を合併した場合。
- 4.汚染がひどく創感染を発症することが考えられる創
- 5.受傷直後の汚れた外傷
湿潤療法の一般的な手順
- 水道水で傷口の汚れを完全に洗い落とす。この時決して消毒を行ってはいけない。
- 出血が止まったら、ラップなどのドレッシング材を傷より大きめに切り、患部に当てる。
- 貼ったラップを包帯などにより固定する。
- ラップは1日に一回。夏などは1日に数回取り替える。
- 上皮化が完了すれば治療完了となる。
湿潤療法を受けるべき?
- 湿潤療法も従来の治療法(植皮など)もそれぞれメリットデメリットがあり、必ずどちらがいいというものではありません。
- ただ、権威のある病院ほど旧来の治療法に執着している傾向が強いらしく、湿潤療法を頭ごなしに否定しているケースもあるようです。
- そもそも治療法は患者自身が選択すべきことです。しかしそのためには中立的な立場から見た治療方法の選択肢が提供されることが前提です。
もし湿潤情報のことを知って、治療法をどうするか迷っている(迷える)状態でしたら、選択肢を増やすために、新しい創傷治療(湿潤療法の普及、医者同士で連携しているサイト)にて、湿潤療法を採用している近くの病院を調べ、相談してみることをお勧めします。その上でそれぞれの治療方法のリスクと効果、メリット、デメリットを患者自身で判断してください。
実際に自分に対して行われた治療
- 25%熱傷のため命を救うための全身管理が最優先だった。
- 2週間後ぐらいから、時々ガーゼの交換を行なった。
- ガーゼ交換の際は水道水(お湯)で洗い流した。
- 座薬や麻酔は回復力を阻害するとして極力避けた。
- 回復中?感染中?の傷をどの程度そぎ落としていか不明。雑菌の温床とされる
- 消毒によるトドメをさしていたかどうか不明。
自分の受けた治療について振り返ってみると、3原則の方針は確かにあった。
ラップとまではいかないが、乾燥させないようにぐじゅぐじゅに保っていたし、消毒も回復の妨げになるとしてでできるだけしなかった。
なので原則としては、湿潤療法は正しい療法というかこれまでとそれほど違う路線という感覚はない。基本的にはどの病院でもやっていることのような気がする。ただラップで完全密封とか、雑菌を含む膿みをそのままにするとかは確かに見た目的にこれまでと違うので、拒否反応を起こす医者や患者がいることも確かで、治療として試されたことがなかったとなので、可能性は感じる。頭から否定せず試行錯誤する価値はあると思う。
ただ、本当にどうなのkは今はまだ何とも言えない。結局はっきりした証明は誰にもできていない訳なので、少なくとも現在はいろいろな治療法があっていいんだと思う(療法多様性論w)。
けど、それは感染リスクのコントロールが可能な環境でやるべきでしょうね。あれだけ自信を持って取り組んでいる夏井さんとそのノレンのあるところだったら大丈夫かな。
実際に湿潤療法の経過を見たり、知人に聞いたりした感じでは、湿潤療法は確かに効果があるが、あくまで人間本来持っている自然治癒力をサポートするに過ぎないのではないかということらしい。
湿潤療法の日本における本格普及は2001年からということで、私が受傷した2000年よりも1年あとということで、当時の病院での治療を非難することはない。むしろこちらから消毒してほしいぐらいに思ってたりもしたので。。
ただ、本当はおかしいと思いつつも慣例だから消毒しておくか、などという大病院的思考停止も十分ありうる話だが。。。
One Response to '湿潤療法とは'

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